私がクレジットカードのコールセンターにいた時には主に督促発信のスペシャリストとして勤務していたわけですが、
クレームを処理するにあたり、クレジットカード会社の審査の方法も知識として知っておかないと対応できない場合もあったので、
なんとか頼み込んで通常はクレジットカードの社員さましか見ることや触れる事が出来ない審査部門で勤務させて頂いた経験があります。
クレジットカード会社の審査部門というのはそのクレジットカード会社のまさに核心部分でもあり、どういう基準で審査を通過させているかのさじ加減が丸見えですので、その内容はトップシークレット、聖域なんです。
ですから、コールセンターに電話した時に出たオペレーターというのは受信部門の人間であり、審査部門の人間ではありませんし、端末で見れる内容も全く異なるので、なぜ落ちたのかとお客さまが問い詰めても絶対にわかりません。
そんな中、審査部門で働いていた時に気づいた事がありました、それは名前の読み方を変えて申込してくる人の数です。
これが本当に多いんです。
例えば、国分 太一(やまだ たいち)さんを(こくぶ たいいち)や(こくぶ ひろかず)と申込書に書いてくる方です。
なんの為に自分の名前の読み方を変えて申込してくるのかというと、このサイトを読んでる方はお察しだと思いますが、クレジットカードがブラックな方、なんですね。
要するに金融事故でも起こしていて金融ブラックになってて、いつもの名前の読み方では審査が通らないので、名前の読み方を変えればクレジットカード会社に別人と認識されて審査に通るのではないかと思ってる方がいるということです。
さて、名前の読み方を変えてクレジットカードの審査が通るかの答えの前に、そもそも名前を変えてクレジットカードを申し込んだ場合、なんらかの罪に問われるのか考えてみましょう。
Q&Aサイトなんかを見ていると、「名前の読み方を変えてクレジットカードの申込をすると詐欺罪にあたる」と答えて、それがベストアンサーになってる事のを見かけますが、あれは違います。
詐欺罪というのは法律の専門家ではない方を想定してご説明しますと、被害者を騙して信用させ財物の交付をさせる場合に処罰される犯罪です。
例えば全くの架空名義や他人名義を利用して借入れをして、返済をしなかったり、返済をほとんどしていない場合、被害者を騙して財物の交付を受けたこになりますので、詐欺といえます。
しかし、自分の名前のよみがなを変えて、借入れをしたとしても騙して財物の交付をさせたとはいえませんので(違う「よみながな」を信じ込み貸し付けたとはいえず、その住所、氏名、生年月日の人であると信じて貸付けたといえる。)、詐欺には当たりません。
そもそも名前のよみがなと言うのは、戸籍をよく見て頂ければ分かると思いますが、漢字によみがなを書いていません。
簡単にいいますと、出生届けを出す時に名前のよみがなを書く欄がありますので、それを元に役所は住民票を発行し、その中によみがなを書いてるんですね。
その住民票のよみがなも地域で多少違いがあるものの、裁判所の許可も何もなく、変えたいと言えば、あっさりと変える事は実際に可能です、普通はよみがなを変えないので知らない方は「え?」と思うでしょうが、よみがなの運用というのはこんなものです。
ここまで、名前のよみがなの法律的話をしましたが、本題である「クレジットカードは名前の読み方を変えて申し込めば通る?」という話ですが、答えから先に言いますと、よみがなを変えても通りません。
クレジットカードがブラックな方、現在、個人信用情報がブラックな方がよみがなを変えてもクレジットカードの審査に通らない理由には、そもそもよみがなを重視して審査をしてないからに尽きます。
本人であるかの照合には運転免許証や健康保険証等の身分証明書を使うわけですが、その他にも生年月日・住所・電話番号・職業と言った、ありとあらゆる要素で審査をされます。
また、CIC等の個人信用情報機関であなたの信用情報を開示する場合、過去、現在、契約時に利用した電話番号を正確書かないと自分の正確な自分の信用情報は出て来ません。
しかし、クレジットカード会社があなたを個人信用情報機関で検索する場合に申込内容の情報で何も出てこなかった場合、同姓同名の情報やよみがなの違うだけの情報、住所だけ違う情報というように、ありとあらゆるパターンで「あなたが別人でないか」を前提に信用情報で登録されていないかと探します。
この事を専門的な用語でいいますと「類似検索」といいます。
ですので、過去、現在、金融事故を起こした方で個人信用情報がブラックな方というのは、よみがなを変えたくらいでは、別の要素でしっかりあなたがあなたであるかを審査しますので、クレジットカード会社から見るとすべてお見通しなわけです。
繰り返しますが、あなたをあなたと特定する材料というのはよみがなだけではありませんので、すぐに特定されてしまいます。
下手に小細工して申込をしていると、そのクレジットカード会社内で社内ブラック扱いをされてしまいますので、申込というのは正確に書くべきです。
現在逃げまわっていて金融ブラックと言う方は債務整理をしないといつまで経ってもブラックなままですので、一日も早く債務整理の得意な司法書士か弁護士に相談することが一番のクレジットカード再取得の近道、これは間違いなし。
債務整理をしたけど債務整理から5年経過せずにまだ喪中の方は、5年経過するまで名前をのよみがなを変えて申込する等の小細工はせずに、しっかりと債務整理から5年間は大人しくしてることです。
その5年の間に余計な事をすると、自らの手でネガティブな情報をバラ撒く事になりますので、注意して下さい。