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「偽装質屋」とはこんな仕組みになっています

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私の法律事務所にはヤミ金被害の相談も多いのですが、一昨年辺りからヤミ金の手口が進化した「偽装質屋」の相談が増えています。

 

本当はネットを通じて、年金を受給しているお年寄りへ向けて「偽装質屋」の危険性の警鐘をしたいのですが、お年寄りは基本的にネットをしませんので恐らくこういうサイトを見れません。

 

ですからこの文章を読んで下さった方の中で年金を受給されている両親や祖父や祖母がいっしゃる方が、今回紹介する「偽装質屋」に嵌ってないか確認して頂きたい気持ちで書いていきます。

 

今、高齢者の命綱でもある年金が「年金担保貸付」と言う形でヤミ金業者に狙われています、年金は定期的に支給されヤミ金業者からすると確実に回収できるメリットがあるので年金を狙うヤミ金業者の手口も年々巧妙化しています。

 

「偽装質屋」の年金担保貸付の手口はこうです、高齢者の多くは年金からの収入に頼るしかなく通常の融資を受けることができません。業者は「年金担保」や「高齢者でも借りられる」と言った内容を強調、チラシや看板で勧誘してます。

 

その勧誘に乗ってしまった高齢者達は業者から①年金手帳②通帳③印鑑④キャッシュカードを持ってくるように言われます。

 

基本的な話をしますと貸金業法では民間の貸金業者が年金担保貸付を行うことを禁止しています、偽装質屋はここをすり抜ける為に「何でもいいから質草を持ってきて下さい」と言います、借りる側の高齢者も「質草になるような高価な物は何ももってないのですが・・・」と言いますが、業者は「何でもいいんですよ、カタチだけですから。動かない時計でもOK。近くに100円ショップもありますよ」と言います。

 

財産価値のない品物をを質草として受け取り、多額の現金を貸し付け、返済は年金口座からの自動引き落としになり、利息はなんと年率96%にも及びます。

 

そもそも何故こんなとんでもない金利を取る事ができるのでしょうか?

 

それは消費者金融などの貸金業者の上限金利は年20%に制限されていますが、一方の質屋はお客の品物を保管したり売却したりするなど多くの手間とコストがかかる為、質屋営業法では上限金利を年109.5%の高金利が認められています、業者はここに目を付け、価値の無い品物を質草に取り年金から毎月返済をさせているわけです。

 

平成24年10月19日、福岡県警は「偽装質屋」、つまり質屋を装って高金利で年金担保貸付を繰り返し、年金を担保にして高齢者数千人に計数億円を貸し付けていたとして、貸金業法違反(無登録営業)容疑で家宅捜索家宅捜索しました。

 

家宅捜索されたのは、福岡市博多区に本社がある「恵比寿」と「ダイギンエステート」
恵比寿が「えびす」、ダイギンは「アオキ」の店名で営業しており、両社が経営する店舗が計8つありました。

 

またそれに合わせて民事訴訟も起きているわけですが、ここで更に問題がさらに申告化しているのは、この偽装質屋の返済が「年金口座からの自動引き落とし」になっている点です。この摘発された業者は「Qネット代行回収サービス」というものを利用して年金口座からお金を搾取していました。

 

Qネット代金回収サービスとは北部九州(福岡・佐賀・長崎)の55の金融機関が提携して金融機関から自動的に引き落とし代金の回収を行うサービスの事です。本来どのように使われているかと言いますと、習い事の月謝や家賃、月極駐車場代金などをスムーズに回収する為にあるサービスで、クレジットカードの口座振替と同じ仕組です

 

以下がそのイメージ図です。

 

 

しかし、このQネット代行サービスの特徴がやっかいなんです。

Qネット代行回収サービスの特徴
決まった日に自動振り替えが行われる
回収漏れが少ない
企業が金額を設定できる

 

上記にあるように「企業が金額を好きに設定できる」のも問題なのですが、今回摘発された業者かから今後引き落とされないようにするには、口座振替依頼の停止をしないといけないわけです。

 

しかしここがおかしなポイントでQネット代行サービスの口座振替を止めるにはお客さま側からではなく、現在Qネットを設定した業者を通してでしか口座振替を止める事が出来ないのです。

 

え?と思われるでしょうが、実際に金融機関に行って口座振替を止めるようにお願いしても「その業者を通して解約手続きをして下さい」と言われるだけです。口座振替の解約が出来ないので、利用者は金融機関の窓口に行って「口座一時停止兼確認書」というのを毎月引き落とされる前に金融機関に提出しないと、摘発を受けた業者の口座振替ですら自動的に引き落とされてしまいます。

 

問題点をまとめますと、

問題点の1つ目は
Qネットの解約には収納企業(年金担保業者)を経由しないと解約できない
ということ

 

問題点の2つ目は
Qネットの振替(引き落とし)の金額に上限がなく企業側が設定する
という2つの問題があります。

 

年金担保業者はお金を貸し出す時にQネットの口座振替依頼書を利用者に詳しく説明することなくQネットの口座振替依頼書に書かせたり、中には勝手に業者に書かれたケースもあるとの事。

 

またQネットの預金口座振替規定を読むと「貴金融機関に請求書が送付されたときには、私に通知することなく、請求書記載金額を預(貯)金口座から引き落としのうえ支払って下さい」との同意事項があり、これは簡単に言うと本人の同意なしに引き落とし金額を設定することができるというものです。

 

 

このQネットの口座振替依頼書には、引き落とす料金の種類を書く欄があるのですが、そこには偽装質屋によって「会費」や「貸付金」と書いてます。

 

しかし考えてみると質屋が「会費」を徴収もおかしいし、そもそも質屋には質流れという仕組みがあるので質屋が「貸付金」という料金の種類を書く事は齟齬(そご)があります。

 

ここを問題と見られて今回摘発されたわけですが、実はこのように質屋で価値のないものを質草に取り、年金を担保に現金を貸付ている業者はわんさかいるんです。

 

Qネット自体は北部九州(福岡・佐賀・長崎)の55の金融機関のお話ですが、これと似たような収納代行をやってる地域が日本全国にありますので、福岡・佐賀・長崎に住んでないから関係ないの話ではありません。またまた摘発された地域が福岡というだけで同じ手口は全国にあります。

 

ではQネットサービスの解約はこのまま延々と出来ないのか?おかしいじゃないか?との疑問が湧くと思いますが、消費者団体から銀行に改善要求が出され「口座主からの届出で解約していくようにしていく」「一時停止のみならず永久的な停止依頼に応じていく」との回答を収納代行をしている銀行からもらっていますが、「収納の上限」や「銀行の審査(悪用されなように)」については未だ回答がない状態です。

 

このように偽装質屋もヤミ金同然です、私も何度か偽装質屋と話をしましたが、彼らは「需要があるから貸してやってるだけ、何も悪いことはしてない、貸してやる人がいなくなったらどうするんだ!」と開き直って言いますが、身勝手な言い訳にしか聞こえません、年利90%を超える高い利率でお金を貸しつけて、年金から自動で毎月回収してさらにお金に困窮させてるのは一体誰なんだと言いたくなります。

 

今回のこの警鐘が広くお年寄りに届くといいのですが、お年寄りはネット閲覧をしませんのでなかなか届かないでしょう、この記事を見た方は身近なお年寄りでいいので、こういう事に巻き込まれてないか注意して見てあげて下さい、またこのような事に巻き込まれていたら、すぐに法律事務所に相談して下さい。

 

この偽装質屋で借りたお金は返還請求ができます、少なくともその利子は違法なので取られた利子は取り返さないといけません、しかし一般の方が返還請求の対応するのは無理ですので必ずお近くの司法書士事務所か弁護士事務所に相談して下さい。

 

また、問題なのはこの偽装質屋、今回摘発された質屋以外にもまだ存在しており、未だに年金担保貸付を行っている所があるということです。クレジットカードのショッピング枠の現金化業者が以前摘発された事があれと同じで氷山の一角だということです、偽装質屋も現在営業してる所はまだまだあります、このような事に高齢者が巻き込まれない為にも我々現役世代の注意が必要です。


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