たまにお客さまから「アメックスの店頭キャンペーンでの申込は審査が甘いのか?」と聞かれます。
答えから先に言いますとWEB申込だから厳しいとか店頭申込だから甘いとかそんな都合のいいシステムをクレジットカード会社は取ってません.
WEBだろうと店頭申込も審査する内容は全く同じです。
この事に関係する事に私も本日遭遇しましたのでここに書いておきます。
兄夫婦と郊外にある「コストコ」に行ってきました.
知ってる方も多いと思うのですが,コストコは有料会員制で年間4200円を支払わないと買い物ができません.
もう少し詳しく説明するとコストコとは「アメリカ合衆国に本社を置く会員制倉庫型卸売小売チェーン」です。
興味のある方は検索してみて下さい。
私を含め兄夫婦もコストコのメンバーではありませんでしたので、当然新規個人会員にならないといけなかったのですが、そこで気になるやりとりがありました。
基本的な事からお話しますと、コストコは会計をする時に現金かクレジットカードを選択できますが、実は利用できるクレジットカードが以下に限られます
・コストコオリコマスターカード
(他のオリコカードは不可)
・アメックス
(アメックスであればどの提携カードでもOK)
(※注意※)2018年2月から日本のコストコでアメックスの利用できなくなりました。
ですので、新規会員受付の時にアメックスを所持しているかをまず聞かれ、持っていない場合勧誘されるわけですが、その勧誘文句に少し疑問が湧きました。
コストコの店舗キャンペーンでアメックスに申し込むと確かに色々とWEB申込にはないようなお得なキャンペーンをやってます。
コストコの店頭申込キャンペーンの内容は定期的に変えてますので、あえてここに書きはしませんが、確かにお得だと思います。
コストコを頻繁に利用する人は持っていたほうがいい内容でした。
しかし問題はその勧誘文句、私はアメックスを既に持っていたのでよかったのですが、兄は持っていなかった為、受付のお兄さんから丁寧に申込を薦められていました。
兄はやんわりと勧誘を断ったのですが、その受付のお兄さんから
「やっぱり大人の財布には安心できるアメックスは入れておきたいですよね」
「男ならステータスの光るアメックスを持っていて損はありません」
「海外に行かれるのでしたらアメックスを持ってないと困りますよ」
というような勧誘文句が出てきました。
まぁ当然勧誘してるお兄さんも勧誘してナンボのお仕事をされてると思うので上記の勧誘文句はあってもいいと思うのですが(アメックスはステータスのあるカードだと思いますので、海外で使えばその意味が分かる場面が出てきます)聞き捨てならない一言がこのあと受付のお兄さんから出てきました。
兄が「このアメックスって提携でもないアメックス(グリーン)ですよね?だったら審査は厳しいし、落ちたら嫌だから申込はしません」と言うと、受付のお兄さんは「お仕事はされてますよね?でしたら全然大丈夫ですよ、お客さまから審査に落ちたとは聞きませんねー」と返してきました。
え?「仕事をしてただけでアメックスグリーンの審査が全然大丈夫??」
私の仕事柄、その言葉に脊髄反射してしまい、兄とのやりとりをしてる横から私が受付のお兄さんにこのように聞き返しました.
「アメックスの申込審査は仕事をしてれば全然大丈夫と今おっしゃいましたが、失礼ですが審査に落ちるとその方の個人信用情報がどうなるのかご存知の上で「仕事をしていればアメックスの審査は通る」とおっしゃってるのですか?失礼ですが個人信用情報機関ってご存知ですか?」
受付のお兄さんは「個人信用情報ですか?えっと一応は知ってますが・・・」と言われたので、「一応?ですか・・じゃぁそこは何する所で何が登録されているか教えてくれませんか?」と聞き返すと、「えーっと、そこまで詳しいことはアメックスに直接聞いて欲しいんですが・・・」と急に自信がなくなった様子になりました、恐らく受付のお兄さんは個人信用情報機関の事を何も詳しく知らないんだと思います。
アメックスの審査に落ちれば当然その審査に落ちた履歴がこれから半年載り続けること、その半年の間に他社に申し込むとその審査落ちした履歴を他社に見られてしまい高確率で審査に落ちてしまうこと、ここをしっかり理解した上で勧誘文句に「仕事をしてればアメックスの審査は大丈夫」と言ってるのか甚だ疑問なわけです。
このお兄さんだけがそんな事言ってるのかと他のブースに耳を澄ますと
お客さま⇒「クレジットカードの審査は自信ないなー、今回はやめとくよ」
他のブースの受付のお姉さん⇒「男ならアメックスは持っておいた方がいいですよね、お仕事をされていれば審査は大丈夫だと思いますよ、取り敢えず申込だけでもしてみましょうよ」
と結構な勧誘文句で申込をさせてました、これは勧誘する方がその勧誘文句に乗って申込をした人が、もしクレジットカードの審査に落ちると半年の間、審査に落ちたというネガティブ情報が載り続ける事を知らない&意識してない事からきてるんだと思います。
私が以前、仕事上で様々なクレジットカードや消費者金融のコールセンターにいた時にお客さまからかかってきたクレームの中でも、自分は何度もカードの申込に自信がないから断ったのに、店頭受付の人が大丈夫と言うから申し込んだ、なのに何で審査に落ちたんだ!理由を言え理由を!と言うクレームが非常に多く、かつ、ハードなクレームに対応に発展していたので非常に困った記憶があります。
店頭受付の方はそのクレジットカードの社員ではありませんし、クレジットカードの勧誘をしてナンボのお仕事をされてる代理店の方ようなものです。
コストコでアメックスを推奨しているのには、コストコとアメックスが資本業務提携をしているという背景からくるコストコオリコマスターカードとアメックスしかクレジットカードが使えないと言う所から来ています。
私の行ったコストコの店舗では「仕事をしていたらアメックスの審査は大丈夫」的な勧誘を殆どの受付の方が説明をしていたので、
受付の方に審査に落ちれば個人信用情報にクレジットカードの審査に落ちたという情報が載り、その申込者の方の信用情報に半年傷がつくと言う事実をを踏まえて、責任も取れないのに気軽に「審査は大丈夫」なんて言うもんじゃないですよ、と説教でもしたかったのですが、それ以上は言いませんでした、指摘した所でただのクレーマー扱いなりますんで。
普通の人は個人信用情報の大切さをあまり知りません、金融事故を起こす方の方が稀なので、個人信用情報を知らなくてもいい人が殆どで、金融事故を起こしてから初めて個人信用情報なるものがあるのを知る人がほとんどです。
しかし私のようにクレジットカードのコールセンターに勤務してた事があったり、現在司法書士の仕事をさせてもらってると、個人信用情報と言うこんな大事な事はもっと世の人に知ってもらわないと、と強く思いますというか、
お金を貸す消費者金融もローンを組ませる信販会社もクレジットカードを発行するクレジットカード会社も最初にもっと強く、詳しく個人信用情報についてお客さまに注意喚起をするべきと前々からコールセンターでクレーマーの電話を取る度に思ってました。
しかし現状は契約書の裏面の小さな字でしか書いてありません、もちろん近頃流行りのスマホ端末の分割契約(割賦契約)の時にも個人信用情報をキチンと説明する店なんて存在しません例の契約書の裏面に書いてるからそれでいいでしょう的な考えなんでしょう、
そもそも支払いを滞らせるお客さまもお客さまですが、そういう事をすると後々トンデモナイ目に会いますよともっお知らせるべきですね、
クレジットカードのコールセンターに勤務していた時もなんで最初にそういう説明をきちんとしないんだ!で、もう何万回(10年以上携わってきたので何万回じゃ済まないと思います。。)も怒られてきました、まぁ支払いをきちんとしないお客さまが一番どうかと思ってましたが、それは言えませんでした。
店頭で気軽に「審査に通る、大丈夫」と言われて申し込んだのに通らなかった場合、個人信用情報にあまり詳しくない一般の方はすぐに他のカードをつい申込してしまうものです。
そもそもクレジットカードを申し込む気はなかったのに、勧誘で申込してしまった事がクレジットカードの所有欲の導火線に火が付き、審査落ちしてしまったら次々に申し込んで、多重申込み、
いわゆる申込みブラックにまで一気になってしまう方が非常に多いわけです、この現象はクレジットカードのコールセンターにいた時に山ほど経験させて頂きました。
人間不思議なもので、別に興味のなかったものでも強く勧誘されて申込をしてしまったものが審査に通らないと何かが頭の中で切れてしまうのか、今度は意地になって審査が通るまで他社に申込突撃をしてしまうんですね。
まさにコストコの入会受付で言われた「お仕事をしていらっしゃればアメックスは大丈夫」と言うのはこのクレジットカードに興味がなかった方を申込みブラックにさせる布石を打たせる事と同じです。
(※コストコはいいお店です、私も大好きです、でもクレジットカードの勧誘文句が一部ちょっと・・です※)
アメックスについてはこのサイトでも何度か説明してますが、元ブラックの方(いわゆる元破産者等)にも全銀協に10年以内の破産情報が載っていても現在の属性を重視して発行する事もあるアメリカ文化を色濃く反映したクレジットカードです。
属性重視ということは、ご自身自体にアメックスの求めるそれなりのステータスがないと審査自体に通りません。
アメリカ本土ではアメックスのような一括払いだけしかできなく、利用者の属性を重視するカードをステータスの高いカードと呼び、中間層より下ののいわゆる低所得者層の人達が使っているリボ専用カードをステータスの低いカードと認識されています。
アメリカ本土で厳しい審査で有名なアメックスを持っていれば、それなりのステータスのある人だなと分かるカードなのに日本では仕事をしていれば審査は誰でも大丈夫、そんなわけがありません、全く同じです。
アメックスに限らず、どのクレジットカードも店頭キャンペーン申込をしていたりしますが、店頭キャンペーンだから審査は大丈夫だとかそういう都市伝説は信じてはいけません。
中には店頭キャンペーン申込の時に申込者の風貌を実際に見ているから甘いとか言う方がおりますが、審査をするのは勧誘受付をしてる方ではありません、そのクレジットカード会社の審査システムの自動スコアリングや審査部の人間の目が審査をするのです。
くどいですが、店頭キャンペーンでクレジットカードの申込をしたら審査が甘いというのは誤りですので注意して下さい。
最後に基本的なことですが、アメックスのカード発行審査の際に参照する個人信用情報機関は「CIC・・JICC・・全銀協(KSC)」の3つすべてとなっております。